JAILA 第13回全国大会報告(2025年3月15日 東京都市大学世田谷キャンパス)
JAILA第13回全国大会ハイブリッド開催(2025年3月15日、於 東京都市大学世田谷キャンパス)では、多くの方にご参加いただきましたこと、心よりお礼申し上げます。
当日行われました研究発表、ポスターセッション、シンポジウムの様子をご紹介いたします。
また、プロシーディングズも掲載しておりますので是非ご覧ください。
開会式
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研究発表
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特別講演 「ただ落ち込むこととうつ病の境界線」 講師:黒沢 顕三 先生
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シンポジウム 「経験を語る、教育を紡ぐ―ナラティブ研究の新たな可能性―」
坂本 南美 先生
渡辺 敦子 先生
石野 未架 先生
久世 恭子 先生
寺西 雅之 先生
那須 雅子 先生
Karen E. Johnson 先生
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ポスター発表
![]() ポスター発表1 |
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閉会式(各種表彰式)
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開催校委員
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プロシーディング/発表資料(PDF形式)
※ 下表は、今大会の発表一覧(研究発表および講演・シンポジウムのみ)です。
※ ポスターセッションの概要については、大会概要(PDF)をご覧下さい。
※ プロシーディングが公開されているのは、一部の発表です(全てではありません)。
※ 表中のリンク(proceedings)よりプロシーディングを閲覧できます
※ プロシーディングおよび発表資料はPDF形式となっております。
| No. | 題目 | 発表者 | proceedings | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 日本の小学校における国際教育の実践可能性に関する実証的研究―教員の国際教育実践の資質能力に関する仮説検証― | 清水 彩 | ||
| 2005 年、文部科学省は国際教育を「国際社会において、地球的視野に立って、主体的に行動するために必要と考えられる態度・能力の基礎を育成するための教育」と定義した。グローバル時代と言われる昨今、その重要性は論をまたないが、国際教育は小学校現場において実践可能なのであろうか。本研究では、「教員は国際教育の授業実践を行う資質能力が身についている」と仮説を立て、文部科学省の推進する小学校の国際教育の実践可能性を検証した。教員養成課程や教員研修の内容が、国際教育の授業実践を行う資質・能力が身につくものとなっているか、滋賀大学教育学部のシラバスや滋賀県総合教育センター、滋賀県教育委員会等の研修情報を調査した。加えて、滋賀県湖東地域の40校の教員に対して、受講した国際教育の研修や海外渡航歴、外国語運用能力などの属人的な資質能力についてのアンケート調査を実施した。結果は本会にて発表する。 | ||||
| 2 | 異文化接触が岩国市民の意識変容に及ぼす影響―岩国市英語交流センター(PLAT ABC)における岩国基地や市内在住外国人との交流を通して― | 永木 健一 | proceedings | |
| 山口県岩国市では、英語教育や英語を核としたまちづくりを進めている。米軍基地を地域の資源として活用し、英語による交流を促進するための交流拠点の設置は、日本国内では類を見ないものと考える。令和4年3月に供用開始した、岩国市英語交流センター「PLAT ABC」の活動において、市民に対する異文化へ理解や国際意識の変化、コミュニケーション力の向上などについて、どのような意識の変化が現れるか、実践を通して考察する予定である。 発表者は、令和6年7月から、施設を利用する、小学5、6年生、中学生、高校生、一般市民を対象にアンケート調査を継続して実施しており、令和6年12月現在、約200名の方々から聴取している。本発表では、その集計結果と傾向について中間発表を行う。 | ||||
| 3 | 山口県の技能実習生の日本語学習の動機づけに関する考察 | 本間 星成 | ||
| 山口県では現在、在留外国人のうち技能実習生が全体の21.7%を占めている。現在技能実習生の受け入れに関しては、一部の職種を除いては日本語のレベルが設定されていない。そのため地域社会に焦点を当てると、言語や文化の壁により地域住民と十分なコミュニケーションが取れず、孤立状態に陥る、または地域住民と衝突することがある。技能実+習生は日本語を使う機会が職場や地域コミュニティのみと非常に限定的である。本研究は、技能実習生がどのような日本語を必要としているのか調査し、技能実習生の日本語学習への動機づけを向上させるためにはどのような日本語学習が必要であるか明らかにすることをその目的とする。日本語学習と地域との関わりの重要性・必要性を関連させた指導を行うことによって、地域共生ができる技能実習生を増加させることができると考えられる。調査は技能実習生とその勤務先の事業所に対して量的調査と質的調査を行う。 | ||||
| 4 | 英語に堪能な小学校教師の英語音声指導観の変容過程①―若手から中堅への移行期における「他者からの学び」に関する省察に焦点をあてて― | 和田 あずさ ナットチー 直子 |
proceedings | |
| 本研究は、英語に堪能な小学校英語教師を事例とし、音声指導の実践と省察の変容を通して、授業者の小学校英語教師としての成長過程を導出することを主題とする経年的な取り組みである。授業者は、小学校教師としての指導経験年数が6年目となり、若手から中堅への移行期を迎えている。授業者はこれまで、発音の多様性を認めようとする信念と英語らしい特徴を保った発音を重視しようとする信念の対立から、実際の音声指導に関する葛藤を抱いてきた。他方、2024年においては、発音の多様性をめぐって、他の外国語専科教師や学級担任など、前年度まで授業者が言及してこなかった他者の影響がうかがえる省察が確認されている。本発表では、このような授業者の語りの変容に着目して、音声指導に関する授業内の授業者の実際の言動と、その背景にある心的過程、およびこれらについての省察に関する解釈を取り上げる。 | ||||
| 5 | 教師の信念が形作る支援と実践―多文化にルーツをもつ児童生徒への柔軟なアプローチ― | 坂本 南美 | ||
| 移民受け入れの歴史が長い欧米諸国では、移民児童生徒の学校環境への適応や受け入れ側の態度に関する研究が広く行われてきた。学校不適応の心理的要因としては、ホスト社会の偏見、移住先での親の孤立、文化的葛藤などが指摘されている。一方、日本では移民児童生徒側に焦点を当てた研究は多いが、受け入れる教師の内面に注目した研究はほとんどない。本研究では、移民児童生徒が一定数通うA県の学校で教壇に立つ教師のナラティブに焦点を当て、異文化にルーツをもつ学習者のいる学級・授業運営で内面を支える要素、葛藤、信念を探った。具体的には、教諭浩二への半構造化インタビューを社会文化的視点から質的に分析した。その結果、授業とそれ以外の場面とを異なる関係性構築の場と捉え、支援のアプローチを柔軟に変えている教師の所作が明らかになった。本成果は、多様化が進む日本の移民児童生徒への教師の支援を考える上で重要な示唆を含むものである。 | ||||
| 6 | L1での相互行為能力はL2での相互行為能力と何か関係があるのか:日本人英語学習者による「断り」遂行に着目した一探索的事例研究 | 鈴木 浩輔 | ||
| 社会において頼む・断るといった行為を円滑に行うには、他者とのやりとりの中で、相手に合わせて自身の発話を調整したり相手に配慮を示したりしながら行為を遂行する相互行為能力が必要である。L2学習者の相互行為能力は、近年研究が進展しているものの、L2での相互行為能力とL1での相互行為能力の関わりは十分に検討されていない。本研究は、日本人英語学習者を対象としてこの関係を探索することを目的とする。具体的には、特に高度な相互行為能力を必要とする「断り」場面に着目し、参加者から日本語の「断り」データと英語の「断り」データを収集する。収集した両データについて、相互行為能力の分析観点から特徴を比較し、参加者のL1での相互行為能力とL2での相互行為能力の関わりを検討する。そして学習者のL2相互行為能力を向上させるには、L1での相互行為能力も考慮する必要があるのかを考察する。 | ||||
| 7 | 時事英語コーパスに基づく実用英語に見られる連語表現の分析 | 山本 五郎 | ||
| 実践的な英語力の育成に関しては、現代の社会問題及び現代社会で広く受け入れられている概念・価値観・生活様式などを反映した語彙を習得することの重要性が先行研究で示されている。同様に連語表現についても実用英語で用いられる表現群を明示しその特性を把握することは重要であるが、これまでの研究では、教授法や学習法、英語学習者の誤用などに焦点を当てた研究や動詞と前置詞の繋がりなど高頻度に使用されるパターンを構造的に分類した研究が多く、教養科目としての英語教育という観点から学習対象とすべき連語を扱った研究は充分には行われていない。本発表では、実用英語として2021年から2023年に出版された主だった英語の時事雑誌から独自にコーパスを構築し、そのデータを基に現代英語で特徴的に用いられる連語表現について、2020年以前のデータを基にした既存の大規模コーパスとの比較分析などを通して、用例を示しながらその特性について論じる。 | ||||
| 8 | 文学テクストの空所を進化心理学で埋める―ホーソーンの『緋文字』を中心に― | 藤沢 徹也 | proceedings | |
| テクストの空所は歴史的・文化的事実や他者などの概念で埋められることもある。その空所が埋まるかどうかは、論の説得力にかかっていると言えよう。一方、テクストに足がかりがないと空所を埋めることができない。その場合、推測することしかできず、説得力のあるものにはなりにくい。 文学が人間の本性に迫ろうとすることに疑いはなく、進化心理学も同様である。この学問は人間の体が自然選択によって進化したように、心も環境の変化や生存・繁殖の競争に適応して進化してきたという考え方を基本としている。その心は狩猟採集時代に定まり現代も変化していない。満腹でもケーキを見ると食べたくなるのは、その昔、高カロリーのものに引き寄せられたことに関係している。 『緋文字』は読者の「テクスト外推測」によって成立しているとも言われている。テクストの空所を進化心理学の知見で埋めることによる学際的な手法で、この作品の読みに新たな光を当てたい。 | ||||
| 9 | Lord, Grant Him Thy Peace: “A Song for Simeon” by T.S. Eliot Exploring the Bond between Text and Reader | Anna-Maria HATA | ||
| “We listen while we read,” Garrett Stewart suggests, proposing that reading engages both visual and auditory faculties, intertwining text and sound. This concept is particularly compelling in the context of poetry, a medium rooted in oral traditions where voice and melody have historically been central, much like prayer. But what, exactly, do we listen to? This presentation explores the sound produced by the reader—our sound. Through an analysis of T.S. Eliot’s “A Song for Simeon,” this study examines how the prosody of the text interacts with the reader, and how the reader, in turn, engages with the prosody. It specifically analyzes the physical act of articulating sounds, focusing on the movements of the tongue, lips, vocal cords, and other articulators that generate layers of sound patterns. This analysis demonstrates how we, as readers, can connect with the murmured song of/for the aged Simeon, uncovering deeper layers of meaning. Ultimately, it underscores the enduring significance of the multisensory bond between the reader and the text. In today’s AI-driven era, where text is detached from our hands and read by a crisp voice, how we listen while we read might reconnect us to the essence of reading poetry. | ||||
| 10 | 大学教員による第三の職域としての学修支援 | 大西 好宣 | proceedings | |
| 大学教員の伝統的な役割が、教育と研究の二つであることは誰も疑わないだろう。けれども、大学への進学がユニバーサル段階に入り、学生の様相がかつてなく多様化した現代の日本で、彼らをより良い学びへと導く学修支援(アカデミック・アドバイジング)は、教員にとって第三の職域となり得る専門的な分野である。従来、広義の教育或いは狭義の研究指導などに含めて捉えられていた学修支援は、近年の「キャリア」概念の変化と共に個別の対応を要求され、さらにはstudent successというより長期的な目標のもとに展開されることが求められている。本発表では、事務系職員が中心となって学修支援に取り組む米国の事例と、教員が中心となって取り組む英国或いは欧州の事例を対比しながら、わが国の大学での在り方について考えたい。 | ||||
| 11 | リベラルアーツとエンダウメント | 長野 公則 | proceedings | |
| アメリカの大学は、大規模な研究大学や州立大学と並んで比較的小規模なリベラルアーツ・カレッジが独自の歴史を持っている。リベラルアーツ・カレッジは少人数教育と探求型教育を特色とすることにより、現在も生き残りを図っている。 本発表では、これらのアメリカのリベラルアーツ・カレッジの最新の動向を、エンダウメントの観点を含めて分析し、日本の大学への示唆を探る。 | ||||
| 12 | 再生可能エネルギーの導入が空気質に与える影響 | 李 広遠 芝崎 誠司 |
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| 日本における空気の清浄度はアジアの中では高い水準にある。しかし、2023年度、汚染濃度の高さは96位(134カ国中)であり、WHOの安全基準値を超えている。また、都市部におけるエネルギー消費の増加は、空気質の悪化や健康被害の増大を引き起こす主な要因として広く認識されている。本研究では、エネルギー消費量が空気質指数(AQI)に与える影響について分析し、再生可能エネルギーの導入が空気質改善にどの程度寄与するかを明らかにすることを目的とする。方法としては、国内複都市のデータを用いて時系列回帰分析を実施し、AQIを従属変数に、再生可能エネルギーの導入率を独立変数として、自然、社会、医療の要素も加えた線形モデルの構築を目指した。初期結果では、エネルギー消費の増加が空気質を悪化させる一方、再生可能エネルギー普及は一定の改善に寄与することが確認された。今後は地域間比較や国際的なデータを用いた分析も進める予定である。 | ||||
| 13 | 台湾の飲食店における素食対応表示―日本のインバウンド観光への手がかりとして― | 徐 沇廷 松浦 芙佐子 黎 暁妮 |
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| インバウンド旅行者数の回復著しい昨今であるが、ベジタリアン・ヴィーガン旅行者が食事の心配なしに日本国内を旅行することが難しい状況に変わりはない。他方、台湾では素食の文化が根付いており、素食専門の飲食店も多く、そのような心配せずに滞在できる。 本発表では、台湾の素食専門の飲食店および素食を専門としない飲食店におけるベジタリアン・ヴィーガン対応について、対応の可否やベジタリアン・ヴィーガンの種別など旅行者が飲食店を決定するのに重要な情報が、飲食店内外の掲示やメニュー、ウェブサイトにどのように示されているのか、言語およびピクトグラムによる表示のあり方を分析する。それに基づき、ベジタリアン・ヴィーガンが旅行しやすい環境整備のため日本の飲食店のとるべき対応について考察する。 | ||||
| 14 | 日本文化の総合理解と異文化コミュニケーションにおける「和菓子」利用の有効性 | 須川 妙子 | proceedings | |
| 和菓子は様々な日本文化を取り込んで創造される。味わいは味覚にとどまらず造形美や銘を鑑賞する視覚、想像の味わいもある。抽象的な形、銘には絵画や文学等の芸術分野の影響がみられ、日本文化の美意識を感じ取ることができる。こうした特徴をもつ和菓子は日本文化の総合的理解の媒介となる。大学生対象の和菓子をテーマにした授業や国際交流プログラムを通して、受講生の文化に対する意識変化がみられた。和菓子の鑑賞は、日本文化の芸術的要素を読み取ることである、和菓子製作は日本文化のあらゆる分野から得る感覚・感情・感性を表現することであると、さまざまな日本文化の総合的な理解に繋がった。また、和菓子は場の状況や相手に応じて自由に創造できるものであり、柔軟に変容可能であるとの理解が、異なる文化背景をもつ人とのメッセージ交換すなわち異文化コミュニケーションの手段に成り得るとの気づきとなり、異文化/他者の理解/許容に繋がった。 | ||||
| 15 | 在日コリアン女性の子育てにおける社会関係とケアの生成:民族とジェンダーの交差性からの考察 | ウィックストラム 由有夏 | proceedings | |
| 日本社会における子育ての困難に関する研究は、特に母親が孤独に子育てを担う「孤育て」が社会問題化する中で、社会学や看護学などの分野で多くの知見が蓄積されてきた。しかし、在日コリアン女性の子育てに焦点を当てた質的研究はほとんど行われていないのが現状である。本研究では、在日コリアン女性へのインタビューを通じて、子育てにおいて誰からどのようなサポートを受けているのか、またどのような困難を抱えているのかを明らかにすることを目的とする。2023年9月から2024年9月にかけて、子育てを経験している(または経験した)在日コリアン女性17名に半構造化インタビューを実施し、個々の子育て体験や周囲との関係性に焦点を当ててデータを収集した。本発表では、これらの調査結果を基に、在日コリアン女性の子育てにおける社会関係の構築過程を解明するとともに、民族とジェンダーの交差性(インターセクショナリティ)が彼女たちの子育て体験にどのような影響を及ぼしているかについて議論する。 | ||||
| 16 | Examining the Relationship Between Creative Thinking and Specific Types of L2 Speaking Performance | UEHARA Soshi | proceedings | |
| Among the four skills, many L2 learners struggle with speaking in a foreign language the most in Japan. Previous studies have revealed relationships between creativity and language production. However, there is a need to further specify the precise variable relations between creative task performance and speaking skills indicated by discourse markers and the number of words produced. Therefore, this study aims to clarify the relationship between divergent and convergent thinking and L2 speaking performance by evaluating word utterances and hesitations during the speaking process. Twenty university students majoring English language education, and 36 non-English major university students participated in creativity tasks and speaking tasks. Results suggest that speakers with high divergent thinking were likely to speak more during the speaking task. On the other hand, speakers who major English language education tended to process their speech with less words during the argumentative tasks. These results suggest that creativity may have an influence on specific types of speaking performance. This study aims to provide a basis for understanding how creativity emerges in speaking tasks in English language education. | ||||
| 17 | Formeaning Response Approachを用いた詩の読解が日本人高校生の言語能力に与える影響―意味構築の活動を通じた推論力の向上を目指して― | 形山 羽奈 | proceedings | |
| 本研究は, 文学的テクストを用いた第二言語学習が学習者の深層的理解を促進する可能性を探ることを目的としている。日本人高校生を対象に, Formeaning Response Approach(FRA)を活用した詩の読解活動を実施し, 学習者が詩の意味を構築し, 他者と共有する過程を観察・分析した。さらに, このアプローチが推論力の向上にどのように寄与するかを考察し, FRAが第二言語学習における新たな指導法として有用である可能性について検討する。 | ||||
| 18 | 背外側前頭前野の賦活から見た日本人大学生英語学習者の英語詩読解時の反応―英語詩タイプとテクスト・エンゲージメントタイプの影響― | 西原 貴之 | proceedings | |
| 本発表では、近赤外分光法により、英語詩のテクストタイプとテクストへのエンゲージメントの仕方が英語詩読解中の日本人大学生EFL学習者にどのような影響を与えるのかを背外側前頭前野の賦活に着目して調べた調査結果を報告する。調査の結果、両要因が学習者の当該部位の賦活に影響を与えていることが明らかとなった。テクストタイプに関しては、テクスト内の行間の意味関係があいまいである英語詩を読む際に賦活が高くなる傾向が見られた。テクストへのエンゲージメントについては、テクストの字義理解のために読む場合よりも行間を読んで意味を作り上げようとする場合に賦活が高くなる傾向が見られた。ただし、本研究では要因間の複雑な相互作用と学習者間での反応の個人差も確認されており、本発表ではこれらの点についての報告も行う。 | ||||
| 19 | コラボレーション・ライティングを通じた「対話的な学び」の質的研究――バフチン的ポリフォニーの視点から―― | 漆畑 祐佳 那須 雅子 |
proceedings | |
| 新学習指導要領で掲げられている「主体的・対話的で深い学び」のうち、特に「対話的な学び」を実現するために、クラス英詩のコラボレーション・ライティング活動を実践した。高校英語の授業において、特に仮定法の学習は、文法の暗記中心な学習に陥りやすいと考えられる。そこで、「対話的な学び」はどのように実現可能であるのかを、従来の画一的な文法の「暗記中心」からの脱却を目指し、クラス英詩のコラボレーション・ライティング活動を導入した。本発表では、クラス英詩を創作する活動と読む活動を経験した生徒たちの、自由記述によるアンケート調査結果を、KHコーダーによって分析した。その上で、バフチンの対話理論を基にしたバフチン的ポリフォニーの視点から「対話的な学び」がどう実現されているのかを、生徒間の関わりと照らし合わせてその効果を検証し考察することを目的としている。 | ||||
| 20 | B. KumaravadiveluのKARDS (Knowing, Analyzing, Recognizing, Doing, and Seeing) を用いた日本の英語科教員の資質能力の探求 | 渡邉 大太 寺西 雅之 |
proceedings | |
| 日本の中等教育の英語科教員は、偏差値重視の教育と生徒の4技能育成の両方を求められる。文部科学省が示した教員資質は英語科教員特有のものではなく、さらに英語科教員のための英語力や指導目標は必ずしも教員資質能力を反映していない。本研究ではB. Kumaravadiveluが提唱した言語教育者が習得すべき“KARDS”というModular Modelを枠組みとして、また現場の教員から生み出される理論が重要であるというKumaravadiveluの主張にならって、特に“KARDS”それぞれの要素の関連性を探求し、さらに英語科教員自身が“KARDS” を定義することを目指す。本研究は混合研究法の一つであるExploratory Sequential Mixed Methods Designを用いる。まず、参加者との半構造化面接を通じて上記の研究課題を探求する。その分析結果から、量的研究のための調査項目を作成し、オンライン・アンケートを通じて質的研究による教員資質能力の探求について妥当性ならびに正当性を検証する。本発表では、研究目的、そして質的研究における調査内容の途中経過に焦点を当てる。 | ||||
| 21 | 学習指導要領と検定教科書の変遷からみる英語科授業での音読活動 | 輿石 采佳 | ||
| 英文の音読が外国語学習において一定の効果をもたらすことは,様々な先行研究から,あるいは学習者・授業者の実践知から既に周知されているといえる。個人で学習する際の音読と,学校での授業内の音読とでは,学習環境や時間の制約などの点において大きな差異があり,特に授業内音読活動については方法論の検証が多くなされている。様々な音読方法が検証されている現状において,授業における音読活動の目的や扱いに立ち返った検討を行うことで,学習者にとってより有意義な音読活動が実施できると考える。中等教育段階の授業の指針となるものは学習指導要領および,検定教科書である。したがって本研究では,中等教育段階での授業内音読活動に焦点を当て,学習指導要領の差異が音読活動の目的や形態,扱いにどのような変化をもたらすか,また,学習指導要領での音読活動の扱われ方が検定教科書の記述にどのようにあらわれているのかを比較検討する。 | ||||
| 22 | センテンス・コンバイニング練習が英作文の複雑さに及ぼす影響 | 麻生 雄治 | ||
| 学習者のパフォーマンスを測定する際の指標として、複雑さ、正確さ、流暢さがあるが、日本の学校現場での英語ライティング指導では複雑さは他の2つに比べ軽視されているように思われる。英語を母語とするの国々の初等・中等学校では英文の複雑さを高めるために、単文を新たな派生形を作るために結合させるセンテンス・コンバイニング(SC)の練習が多く実践されているが、日本の英語教育ではほとんど実践されていない。実際、日本国内で使用される教科書や問題集の中にSCという言葉はほとんど出てこない。そこで、本発表では、短期間のSC指導と練習で、日本人大学生の英作文の複雑さは向上するかを混合研究法を用いて検討した。その結果、SCの指導は英作文の複雑さの向上に貢献し、日本のライティング指導におけるSC練習の実現可能性が示唆された。が、同時に、日本人英語学習者に適するSCの練習の在り方の難しさも確認された。 | ||||
| 23 | Beliefs and Strategies in English Learning Among Japanese University Students | 王 鏡洲 | proceedings | |
| This study investigates Japanese university students' beliefs about language learning, with a focusing specifically on English acquisition, aiming to understand their attitudes, confidence and motivations in English language acquisition and explore how beliefs about language learning affect their English studies. The study categorized learners’ beliefs into analytical learning beliefs such as breaking down grammar rules, focusing on sentence structures, memorizing vocabulary, and analyzing linguistic patterns. In contrast, experiential learning beliefs which reflect a preference for engaging in activities such as speaking practice and consuming English-language media. The study also explored which beliefs students hold, which learning strategies they employ, how confident they feel during English study, by using a questionnaire among 102 English learners in a regional national university in Japan. The results of the questionnaire are that analytical learning beliefs are the beliefs most learners hold. Students who view language learning positively are more likely to hold experiential learning beliefs. This study also found that the number of students who holds experiential learning beliefs but using analytical learning strategies are the most. These findings highlight that EFL learners' beliefs influence their methods and outcomes, suggesting a need for interactive, confidence-building programs and further research on motivation-belief relationships in language acquisition. | ||||
| 24 | メタバース上での主観評価測定のためのツールの開発と評価 | 李 明宜 | ||
| 近年メタバースの応用が普及している中、メタバース上での人のふるまいの研究が必要になっている。しかし、メタバース上でヘッドマウントディスプレイを外したら心理状態が変わる可能性があることを踏まえて、メタバース上で心理測定をするための汎用的なツールが必要であると考えられる。本研究の目的は、メタバース上で利用可能な質問紙調査作成のための汎用的なツールを提案し、その有効性を検証することである。 開発したツールはVRChatで作られるワールドで用いられるものであり、質問項目の数に制限がなく、選択肢の数は11までである。開発したツールの有効性を検証するために、現実世界での等価な調査と比較することにより、その信頼性及びユーザビリティを評価する。具体的には、開発したツールとGoogle Formでそれぞれ3つの心理測定尺度の質問紙を被験者に回答してもらい、ユーザビリティ評価を行うとともに信頼性を評価する。 | ||||
| 特別講演 | ただ落ち込むこととうつ病の境界線 | 講師:黒沢 顕三 司会:深谷 素子 |
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| 1980年に改訂・出版されたアメリカ精神医学会によるDSM–Ⅲ(精神疾患の診断・統計マニュアル第3版)の登場後、精神疾患に対する診断学が大きく変化した。うつ病に対する診断学もその例外ではなく、過去ニ千年を越えて蓄積されてきたメランコリー概念を否定的に発展させたエミール・クレペリン(1856–1926)が、躁うつ病概念を提唱して以来の画期的変化がもたらされた。だがその変化は必ずしもポジティブなものだけではない。DSM–Ⅲでは横断的診断を採用しているため、これまでの病状経過や、「生活歴」と言われる患者の生活背景が軽視される傾向にある。その結果、伝統的な精神病理学的には比較的明確であったうつ病(内因性のうつ病)と健常な落ち込み(心因性のうつ状態)の区別が付きにくくなり、うつ病診断の精密性が毀損されている可能性がある。今回はうつ病概念の変遷を概観するとともに、実臨床での具体的問題点を指摘し、新たなうつ病診断学の可能性を模索したい。 | ||||
| シンポジウム | 経験を語る、教育を紡ぐ―ナラティブ研究の新たな可能性― | 講師:坂本 南美 渡辺 敦子 石野 未架 久世 恭子 寺西 雅之 那須 雅子 Karen E. Johnson |
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| 言語教育におけるナラティブ研究は、教師や学習者がどのように自己の経験を意味づけ、自らを再認識するかを理解するための重要なアプローチの一つである。本シンポジウムでは、ナラティブ研究を通して、日本の英語教育に携わる教師や学習者がどのように自己の経験を紡ぎ出しているのか、その諸相を探る。具体的には、シンポジウムの前半は二つのセクションに分け、まず日本の中学校、高等学校、大学に勤務する熟練教師、新任教師を対象としたナラティブ研究を取り上げる。続いて、日本の大学の文脈における英語学習者や語学学習に成功した人たちのナラティブを通して、学習経験やライフストーリーに関わる研究に焦点をあてる。また、後半のディスカッションでは欧米で大きな流れを作るナラティブ研究が、日本の教育現場という文脈でどのように貢献し得るか、その可能性も含めてフロアの皆さんとともにナラティブに関する議論を深める。 | ||||
ポスター発表
■ 優秀ポスター賞
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「サーキュラーエコノミーにおける建築設計・街づくりの事例視察及び現地住民に与える効果測定」 |
| 寺西 志帆理(京都大学大学院工学研究科建築学専攻 学生) |
■ ポスター発表奨励賞
「海外文化紹介のためのデザイン提案」 |
| 廣岡 瑠唯(岡山県立大学学生) 森本 芽衣(岡山県立大学学生) 森安 はづき(岡山県立大学学生) 森田 愛未(岡山県立大学学生) 松村 歌音(岡山県立大学学生) 大崎 桜子(岡山県立大学学生) 佐藤 綾佳(岡山県立大学学生) 大月希海(株式会社ハローズ) 風早由佳先生(岡山県立大学) |
| No. | 題目 | 発表者 |
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